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2013.03.25 

中古車情報サービス『Goo-net』を提供するプロトコーポレーション特集 プロトコーポレーションビジネスモデル研究

 

こんにちは、黒須敏行です。

中古車情報をインターネットで探せる『Goo-net』というサービスを提供しているプロトコーポレーションという会社が名古屋にあります。今は会長である横山博一さんが1977年に始めた事業であり、30年にわたって様々な競合他社との戦いを繰り広げてきました。今では中古車情報関連ビジネスにおけるトップシェアになっています。

今回はそのプロトコーポレーションのビジネスモデルを見ることで、資本力が大きい競合他社との戦い方を考察するのが目的です。

進め方としては
・プロトコーポレーションのビジネスモデル
・競合他社との歩み
・プロトコーポレーションの今後の課題
という形で参ります。

ひとつずつ見ていきましょう!

■プロトコーポレーションのビジネスモデルモデル

プロトコーポレーションのビジネスを一言で説明すると自動車販売店の仕入れからマーケティングまでをサポートするビジネスです。以前ぐるなび、ホットペッパー、食べログそれぞれのビジネスモデルを紹介しましたが、プロトコーポレーションのモデルはそのなかでもぐるなびに近いです。

ぐるなびのミッションは飲食店のサポーターになることであり、収益ドライバはぐるなびへの掲載費です。彼らは数年前から店舗に対しての食材調達支援や店舗開店支援といったことも行なっています。

プロトコーポレーションも同様に、Gooという媒体に対しての出稿費を頂戴しながら、中古車販売店が車を仕入れる際の査定算出システムを提供したり、販売店に対して相場データを提供しています。商売の川上から川下までというやつですね。

そもそもプロトコーポレーションは現時点で

・自動車関連情報
・生活関連情報
・不動産
・その他

という4つのセグメントで事業を区分しており、利益のほとんどを稼ぎ出しているのが自動車関連情報です。自動車関連情報の内訳としては
・情報誌事業(Gooに対しての広告出稿)
・IT事業①(Goo-netオプション商品、BtoBデータサービス)
・IT事業②(EC、中古車輸出支援サービス)
・その他(Goo鑑定)
という4つで構成されています。

これは2013年IR資料にある各事業の売上比率の推移です。

セグメント別の売上

IT事業②が近年伸びていますが、これは事業を買収したことで「かさ」が増えています。プロトコーポレーションは情報誌事業と、IT事業①が創業当時から展開しているビジネスモデルであり収益の柱になっています。横山さんを紹介している2003年当時の記事を紹介しましょう。

横山が中古車情報誌を創刊したのは今から25年前の1977年、当時は名古屋の中小企業のサラリーマンだった。当時横山が欲しかったのは日産のバイオレットだった。一口に中古車といっても車種、年式、グレードと幅広く、探すのは容易ではない。毎週末、中古車展示場廻りに明け暮れた。

そのとき「自分のように中古車探しに苦労している客は多いはず。販売店の在庫情報を1冊にまとめて本にすれば必ず売れる」と確信した。中略すぐさま会社に辞表を提出するや、日本初の中古車専門誌「中古車通信」を創刊した。~中略~

横山の読みは当たった。創業から5年経ったところで徐々に好転し始めた。中古車情報をデータベース化し、カスタマイズして提供するという事業はまだ誰も手がけていなかった。ここに大きな市場が眠っていた。名古屋からスタート、その後、静岡、福岡、大阪、東京と次々とエリアを拡大、今や日本全国十エリア、掲載月間台数は40万台と日本一を誇る

この記事は過去のものです。現在のシェアを見てみましょう。

マーケットシェア

現在もトップシェアですが競合他社とプロトコーポレーション売上や従業員の人数を比べてみると差があることがわかります。

プロトとリクルート

そもそも車の事業部だけを比べているわけではないので、厳密な比較はできませんが確かに資本力には大きな差があります。どうやってプロトコーポーレーションは今のシェアを獲得していったのでしょうか。それを紐解いていきます。

 

■プロトコーポレーションと競合企業の歩み

プロトコーポレーションが今のシェアを築いたポイントは2つあります。

・媒体の変化の対応スピード
・営業戦略

ひとずつ解説します。

 

☆媒体の変化の対応が早かったプロトコーポレーション

これはアレクサで調査した、各サイトの流入量です。

トラフィック比較

Goo-netは中古車業界のなかでもトップの流入量です。これはプロトコーポレーションのネット対応が、業界他社と比べても早かったことが挙げられます。これは別の記事を紹介します。

Goo-netの開設から7年後、プロトコーポレーションに転機が訪れる。提携していたポータルサイト大手Yahoo!との決別である。中略中古車情報の提供は1999年から始まったようであるが、2003年に提携は解消された。~中略~だがまさにその時、プロトに幸運が訪れる。インターネットのwebsite検索が従来のカテゴリー検索方式からキーワード検索方式へと変化し、カテゴリー検索で支配的地位にあったYahoo!の影響力に陰りが見え始めたのである。

中古車に関するキーワードが打ち込まれたときに、どうすれば検索結果の上位に自社のサイトを表示することができるのか。Yahoo!との提携解消を機に自社サイトの充実へと舵を切っていたプロトは、販促ポイントシステムであるネットマイルの採用や、検索プログラムに対応したサイト構築(SEO対策)、検索連動型広告への出稿、サイト認知に向けたTV・雑誌広告の投入等の努力を続けた。

この記事でわかる通り、早くからウェブマーケティングに力を入れていたことが今のシェアを形成した要因になっています。またGoo-netが広告掲載費が拡大することで営業利益率が年々高くなっています。

 

☆プロトコーポレーションの営業戦略

元々名古屋が商圏だったプロトコーポレーションですが、関西進出、東京進出などの大都市圏の進出の際に競合との競り合いを制してきたという経緯があります。ホットペッパーミラクルストーリーという本で紹介されている競合他社の強みとしては
・高い単価の商材を
・優秀な営業担当が
・高単価で売り切る
というのが強みでした。プロトコーポレーションは競合他社とがっぷり四ツで戦うのではなく、ターゲットをずらして戦いました。具体的にいうと広告スペースを小口にして販売するという方法をとったのです。

これは1 ページ広告を埋めるだけの資金や在庫を持たない、中堅・中小中古車販売事業者向けに対しての営業方法です。また販売店に対して、車の卸売情報をフックに営業を行いました。背景としては競合他社のメインターゲットが大手であり、商材も高単価だったためです。

ここで培ったスタイルが前述したような販売支援だけではなく、仕入れ支援も行うことで販売店の川上から川下までをサポートするというビジネスモデルの元になっています。この営業戦術は関西で成果があがり、首都圏でも同じ方式を展開しました。

その結果今では全国に営業拠点を持ち、媒体の掲載台数もトップの水準になりました。そしてそんなプロトコーポレーションの今後の課題は車事業ではありません。それは生活関連事業の成長です。

 

■プロトコーポレーションの今後の課題

2002年の横山さんのインタビューを読むと、2015年度までに車と生活情報、そしてさらにもうひとつの第3のブランドを投入し3本の柱で1千億の企業を目標に掲げていると話しています。

現在のIR情報から各事業の売上比率を見てみましょう。

2013年セグメント別売上

現状もプロトの利益のほとんどを稼ぎ出しているのはGooブランドです。生活関連事業は伸びてはいるものの、同じ規模には育っていません。veeトラベルという旅行事業や、veeスクール(現状はGooスクール)といった媒体を立ち上げてはいますが旅行事業は撤退をしています。

プロトコーポレーションのように、特定の事業が大手の競合と肩を並べるまでに大きく成長したものの、別の事業が同じ規模まで育っていないという事例は他にもあります。HOME’Sを運営するネクスト社やジョブセンスを運営するリブンセンスなどです。(ただしそもそも一発当てるということが凄いこととという前提はもちろんあります)

ネクスト、プロトコーポレーション、リブセンスに共通するのは素早いネット化です。またネクストとリブセンスは、営業担当者が少なくそもそもビジネスモデルも掲載型ではなく反響型のものになっています。

これを見ると
・紙からネット、PCからスマフォなどの媒体の変化に対応したマーケティング
・掲載型から反響型といった従来のビジネスモデルからの脱却

意図していたかは別として、これらの変化に対応できた企業のサービスが残っていることがわかります。これに当てはまるビジネスモデルやマーケティングであれば、これからも大手が寡占している情報ビジネスは参入できるチャンスがあるということがいえるでしょう。

そしてプロトコーポレーションが別の事業を事業者事業と同じ規模にするためには、今後成長する市場に参入することが重要になるでしょう。釈迦に説法ですがビジネスモデルには寿命があり、いつ参入するかが成長できるかを決めるということは神田昌典さんが成長曲線という考え方で繰り返し伝えていることです。

成長曲線の考え方

次回以降はそのプロトコーポレーションの成長を支えてきたウェブのマーケティングについて詳しく見て行きます。

それではまたこの場所でお会いしましょう!

 

この記事は公開情報をもとに作成しています

(参考文献及び情報サイト)
・プロトコーポレーションIRサイト http://www.proto-g.co.jp/IR/index.html
・住商アビーム自動車総合研究所 アフターマーケットの成功者たちhttp://www.sc-abeam.com/sc/?p=1903
・日本 ナレッジ・マネジメント学会東海部会季報 April.2011 プロトコーポレーションのコアナレッジhttp://www.kmsj.org/tokai/201104onisi.pdf
・企業家倶楽部 プロトコーポレーション会長横山博一のすべて GooとVeeでリクルートに挑む!(企業家ネットワーク 2003年10月)

 

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この記事の著者

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コンサルタント

女性向けポータルサービスのPVを30万から150万へ改善、リサイクル会社の新規事業の年商を新たに2億創出、賃貸オフィス仲介会社の反響数3倍改善などの実績があります。検索流入数とコンバージョン率の改善が得意です。

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