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2013.05.14 黒須敏行
【リブセンスSEO研究】SEO対策やリスティング広告の効果が頭打ちになっている業界で実施すべきマーケティング手法は何か?転職会議のSEO対策とビジネスモデルを研究
こんにちは、黒須敏行です。
今回の記事の目的は「リスティング、SEOを使ったマーケティング手法の次に費用対効果が高いマーケティング」を理解してもらうことです。
SEO対策やリスティングはほぼやり尽くしたので、ユーザの行動を追跡し配信方法を最適化させた純広告を実施している企業も多いでしょう。そして思ったような効果を挙げられずに苦労をしている事例も見聞きします。
結論から話すとその方法は「ユーザの潜在的なニーズを検索で獲得する」ことです。検索エンジンマーケ手法の次に良い手法が検索って日本語として間違ってるので、これだけだとなんのこっちゃいという話だと思います。
厳密に言うと検索エンジンを使って顕在してる課題ではなく潜在的な課題を解決するという方法です。これまでのように他社の事例を詳しく見ながら解説をしていきますが、この記事はSEO、リスティングをやり尽くし次の打ち手を出しあぐねてるウェブマーケティング担当者にとっての突破口になることを意図しています。
章立てとしては
・リブセンス転職会議のマーケティング思想
・リブセンス転職会議のSEO対策
・リブセンス転職会議のビジネスモデル
という形で進めていきます。それでは参りましょう!
■リブセンス転職会議のマーケティング思想
リブセンスは転職会議という様々な企業の口コミ情報を閲覧することができるサービスを提供しています。
同じようなサイトをエンジャパンや他企業などもやっていますが、このサイトの目的は一体何でしょうか?
それは転職希望者のリストを集めることなんですが、普通の方法と異なるのはユーザの潜在的なニーズや課題を解決していることです。
転職を希望するユーザをSEO対策やリスティングで獲得する際のキーワードは何でしょうか?地域、業種、職種、社名など様々なキーワードが考えられますが共通していえる問題点は、資本力を持った大企業が競合になるためリスティングのクリック単価が跳ね上がってしまう点です。
リスティングのクリック単価が高いキーワードは当然SEO対策の難易度も競合が増えるので高くなります。
この領域で頑張って、情報量を増やしリンクを増やすという方法を採るのもひとつのやり方ですが、リブセンスは「競合いない分野で勝負する」方法を採りました。その答えが転職会議というコンテンツです。
ユーザは転職の意欲の高低で分類できますが、大手を中心とした競合他社は基本的には転職意欲が醸成されたユーザをターゲットにしていることが多いです。リブセンスはこの一歩前のニーズに対してアプローチしている企業が無いことに目をつけ、コンテンツを作りSEO対策で集客をかけました。
そしてそこで獲得したリストをジョブセンスリンクという自前の転職サイトに流したのです。以前エムスリー研究で、手前のニーズを解決するマーケ手法を紹介しました。
これを体現しているのがリブセンスの転職会議です。
■転職会議のSEO対策
転職会議で見るべきマーケティング手法はSEO対策、そのなかでもキーワード選定が洗練されています。転職会議と競合サイトのターゲットワードのランキングを比較してみましょう。
見てもらうとわかりますが、評判以外にも、年収、口コミ、などありとあらゆる不安に対してのキーワードを選定しコーディングを最適化しています。こういったキーワードは競合が少ないので、SEO対策の難易度も低くなります。
SEO対策に大事なことはなんですか?と質問をすると多くの方から
「リンク」
「コンテンツ」
「テキスト」
「アルゴリズムへのキャッチアップ」
などなどの答えが返って来ますがSEO対策で最も大事なことはキーワードを選定することです。
そしてキーワードを選定するポイントは
・競合がいなく
・コンバージョンを獲得でき
・ボリュームが担保され
・コンテンツを作ることができる
という4つしかありません。転職会議の素晴らしいポイントは、通常はコストをかけてリンクを最大化するぞ!となる展開を避け、別の領域で勝負するというマーケ視点です。
またコーディング方法も特殊です。基本は競合が狙っていない検索数が少ないキーワード毎にページを用意しています。
注目すべきポイントはクチコミ詳細ページのトリッキーなコーディング方法です。ボディのテキストは会員登録しないと見れませんが、コンテンツの一部をtitle、h1などの重要タグに全て表示をさせてしまっています。その結果titleタグが非常に長いのが特徴です。
このやり方であればクチコミの数だけ流入ワードを増やすことができます。企業の第3者評価情報を見るサービスはマイニュースジャパンなどが有名ですが、こういったキーワードに対応されたページがそもそも用意されていません。
そのため転職会議はキーワードあたりの情報量は少ないですが、キーワード毎にページを作るという発想で転職会議は集客を成功させています。
アレクサランキングを見ても転職会議の流入数が最も多いです。
■転職会議のビジネスモデル
転職会議のビジネスゴールは
・会員課金
・人材会社へのリスト販売
・自社媒体への送客
の3つです。
クチコミを見るためにはポイントが必要となり、そのポイントを獲得するためには購入するか他社の媒体の案件を見ることが必要になります。転職会議のインターフェースは、アプリのリワード広告のそれに非常に良く似ており、おそらくですが他社とは1掲載を閲覧する毎に支払う成果報酬になっていると思います。
IR資料によると、13年の第2クオーターに収益化を達成していますが要因は他媒体への送客課金です。
リスト送客のモデルのメリットは、収益化がしやすい点です。じげんという会社をご存知でしょうか。バーティカルメディアという事業を展開していますが、どういった意味なのかわからない方も多いと思います。
これも転職会議と同じモデルで、検索エンジン経由中心に獲得したリストを人材や不動産業界などの事業会社に販売するモデルです。自社で直接エンドクライアントとアカウントは開かないので収益性はリブセンスのジョブセンスなどのサービスよりは落ちますが、営業先はポータルを運営する企業に絞られるので営業コストが低くなる硬いビジネスモデルです。
転職会議のようにユーザの潜在的なニーズや課題を解決できるコンテンツを使って、本丸の商売のリストを集めるというモデルはここでは紹介しませんがリブセンスだけでなく様々な会社が行なってビジネスを成功させています。
■まとめ
転職会議の素晴らしい点はユーザのニーズの白地を、SEOという最も費用対効果が良い方法で集客している点です。SEO対策、リスティングのクリック単価が高騰して大変だ。。と悩んでいる方は多いと思います。
そんな方はまずユーザがどんなニーズ持っているのかを把握したうえで、潜在的な不安や課題を解決する余地はあるか?という視点を持つことが大事です。
それではまたこの場所でお会いしましょう!
※訂正
訂正連絡をいただきましたので訂正をします。
①ジョブセンスリンクへ送客をしていると書きましたが、送客はしていません。
②転職会議のビジネスゴールは員課金・人材会社へのリスト販売・自社媒体の送客ではなく求人媒体への送客・会員課金・広告掲載の3つです。
③転職会議は閲覧課金ではなく応募課金です。
④現在応募案件閲覧でポイントを獲得することはできません。
⑤収益化は13年の第2クオーターではなく、12年の第2クオーターです。
ご指摘ありがとうございました。
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