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2014.10.10 黒須敏行
NewsPicksのコメントを見てわかったSEOが小手先のテクニックと呼ばれる理由
SEOって小手先のテクニックとか、サービスの本質ではないといわれることがあり、あまり良い印象を持たていないなと常日頃感じています。
堀江貴文さんの
ま、結局よいコンテンツをしっかりつくるしかないってことなんだよな。小手先のテクニックに頼らず。
https://newspicks.com/news/438767/#!
というコメントやピクシブ片桐さんの
実はSEOもA/Bテストも、必要なのは分かっていても本心ではあんまり好きじゃ無いんですよ。あれって結局「集客」に特化した部分最適であって、サービスはそれ自体がひとつのユーザー体験であるべきっていう僕の信念に合わないんですよね。
http://www.find-job.net/connect/pixiv/
などを見ると確かにそういった側面もあるなと思います。
一方で凄く関心が高い人達がいるのも事実なんですよね。
インターネットがメインの事業を展開している会社の決算資料を見ると検索エンジンマーケティングを経営課題の一つと認識してる会社は少なくありません。
リクルートの有価証券報告書にも書かれていますし
http://www.tse.or.jp/listing/new/b7gje6000004v9og-att/10recruit-1s.pdf
MonotaROという年商約350億あるBtoBの工具ECサービスがありますが、決算資料を見ても検索エンジンマーケティングに力を入れていることがわかります。
http://pdf.irpocket.com/C3064/h8MH/Tcq7/M1Tc.pdf
どうも世間一般の評価と一部の人達の関心の高さを見るとギャップがあるなと。
なぜなのかなと思ってたんですが、先日投稿したIindeedの分析記事が「NewsPicks」という著名人の生の解説やコメントが見れるニュースアプリでとりあげられており、そのリアクションを見てこんなかんじになってるのかなーという仮説を思いつきました。
構造としては
世間一般の大多数の人達の関心の対象はビジネスやマーケティング
↓
SEOに関心が高い人達はデジタル完結のビジネスの経営者かマーケターで絶対数が少ない
↓
にも関わらずSEOの専門家はオフラインビジネスの人達に向けてマニア向けの話をする
↓
関心の対象にならず誤解が生じる
↓
ギャップがどんどん深くなる
こんな感じになってるのかなと。
新日本プロレスを立て直したブシロード社長が以前「すべてのジャンルはマニアが潰す」というコメントしてるんですが同じことが起こってると思ってます。
新日本プロレスの売上を11億⇒25億にする社長の発言からわかるネットサービスが廃れる理由
http://blog.marketing.itmedia.co.jp/kurosu/entry/543.html
ひとつずつ解説します。
|世間一般の関心はビジネスやマーケティング
Newspicksのコメントで面白いなーと思ったものは
nanapi古川健介さん
最強にいい買収だったんですよね。indeedを、手に入れたことでリクルートはこれから先の10年を勝ち続けられる武器を手に入れた
https://newspicks.com/news/648665
他のコメントだと
gumi国光さん
Indeed年商249億もあるのか。これはリクルートにとって大きな買収だったな〜
https://newspicks.com/news/648665/
これってIndeedのSEO云々の話ではなく
・リクルートがindeedを買ったビジネス上の意味
・indeedの売上っていくら?
というビジネスの話なんですよね。
リクルートの約1兆円近くの売上の大半がオフラインの人材ビジネスです。
今後オンライン化の流れとともに、このオフラインの売上はオンラインに代替されると思います。Indeedは人材版のGoogleなので、買収によってリクルートは課題だったオンライン人材ビジネスの窓口を抑えたという事業上のインパクトがあるぞと古川さんのコメントを見て理解しました。NewsPicks面白い。
これを見て世間一般の関心はSEOの具体的な話よりもやはりビジネスやマーケティングだなと感じました。同時に他のコメントを見るとオンライン完結のビジネスをやっている人達にとってSEOに対する関心はやはり高いと再認識しました。ただしそれはマーケティングやビジネス視点のSEOです。
|ウェブマーケティングに関心が高い人は絶対数が少ない
このデータだと日本全体の市場は約1000兆ありますが、インターネットの分野は約1兆です。もちろんこれからもインターネットの市場がまくっていくと思いますが、絶対数が少ないという話が前提にあります。
これまでの話を図にするとこんな感じですね。
|SEOの専門家はマニア向けの話しかしない
Googleのアルゴリズム云々の話や改善の具体的なテクニカルな話は世の中一般の人からするとなんのこっちゃいなんですが、私も含めて専門家はそういう話をしたがる傾向にあります。
SEOの専門家は
・リンク族
・Google族
・マーケティング族
・ビジネス族
に分けられると思ってます。
自作自演リンクを順位保証型で販売するビジネスモデルで会社が上場するほど自作自演リンクを活用したSEOは一世を風靡しました。このリンク族が一番多いと思います。
エンジニアや制作サイドにいる方はGoogle族が多いですかね。この人達は「Googleはユーザにとって良いコンテンツを作ることが本当のSEOといってるからそもそもSEOなんて何も考えなくていい」というのが口癖ですね。
いっていることは何も間違っていないのですが、SEOはマーケティングの手段という視点がすっぽり抜けているため、現実的にはそれだけで解決できないことが発生します。
こういった考え方だとアンテナというキュレーションアプリの代表の杉本さんと堀江さんのインタビューで紹介されてるようなことが起こります。(まあこの記事は検索ってもう使わないよねという記事なんですが。。)
杉本:見ちゃいますよね、これは。こういうのって現実問題、ネットがなかったら知られてないと思うので。だから、さっき僕が言ったテレビで作ってる、関わってるクリエイターの人たちとか、ライターさんとかっていうのは全部そうなんですけど、これぐらいのものって平気で作ってくる人たちっていっぱいいて、その人達の火が消えちゃったら、悲しいなとか思ってて。雑誌も読まれないからオンライン版を始めるんだけど、星の数ほどあるので、検索にもひっかかってこないし、SEOとかちゃんとやってる人もいない。そういうときに、情報の大規模小売店舗としてのモノというのが、しっかりあったらいいんじゃないかなっていうのは、まず思いましたね。
http://horiemon.com/talk/16184/
そしてこういった観点をもってるマーケティング族、ビジネス族が少ないと感じます。
マーケティング族は事業サイドには多いんですが、ベンダーサイドはあまりいないです。ここは経験がものをいう領域なので、SEMの業界経験が長い人達や事業サイドからベンダーに移った人達やが該当します。
ビジネス族はSEOの重要性を理解している経営者や事業開発担当者の方達ですね。このプレイヤーも当然少ないです。
ちなみにこの分類は佐々木紀彦さんがメディアの人達をビジネス族、テクノロジー族、紙メディア族、ウェブメディア族と分類していた話を読んで同じ構造になってるなと感じました。
|関心の無い人達に向けてマニア向けの話をするため理解されない
先日の私の記事もそうですが、nofollowとかPagerankSculptingみたいなマニアックな話は大多数の人達にとって意味がわかりません。
SEOやウェブマーケティングの専門家は
・オフラインのビジネスをやってる世間一般の人達に
↓
・リンクやテクノロジーに代表されるマニア向けの話をひたすらし続け
↓
・大多数に理解されない
こういった構造で誤解され続け、ギャップが埋まらないのだなと今回身を持って感じました。
|まとめ
なるべくビジネスやマーケティングの話から専門分野の話をするようにしようと思ってましたが、NewsPicksのコメントを見てまだまだだなという気づきを得ました。
先日LINEの執行役員の田端信太郎さんのインタビューで面白い話がありました。
藤野:けれど企業の人は、「SEOを使うと顧客獲得の費用対効果が高い」と聞くとそちらにどっと流れ、「次はSNSがくるらしい」と聞くとまたそちらにどっと流れてしまう(笑)。
田端:何か新しいものが出てくると「祭り」みたいになる。そこでこつこつやっていた人もいるのに、みんなで一斉にやってきて踏み散らかしていく。下手なサッカーと一緒なんですよ。ボールがあるところだけに、みんなが集まってきて、何がなんだかわからなくなる(笑)。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40501?page=2
これは日本のマーケターに全体最適という考え方が無いため広告予算が代理店の食い物になってるという話なんですが、ウェブマーケティングやSEOの業界も同じです。やれパンダアップデートだのペンギンアップデートだのコンテンツマーケティングだの新しい言葉を専門家が唱えるたびにマーケターの間で下手なサッカーが繰り広げられている気がします。
気をつけたいですね。
それではまたこの場所でお会いしましょう!
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