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2014.12.25 黒須敏行
年商100億といわれる動画教育サービスlynda.comのSEO
lynda.comというアメリカの老舗動画教育サービスがありますが、年商が100億あるようです。
Back in May, we shared the unique story of Lynda.com, the veteran, video-based education platform, and how it was able to generate $70 million in revenue in 2011 without taking a penny from outside investors.Since then, it’s continued chugging along, growing revenue to $100 million in 2012.
http://techcrunch.com/2013/01/15/after-17-years-education-platform-lynda-com-raises-its-first-round-of-funding-103m-from-accel-spectrum/
ビジネスモデルは個人と法人経由の月額課金モデルです。プログラミングやフォトショップ、イラストレーターなどのウェブに関する様々な方法を動画で学ぶために、有料の会員になる必要があります。
費用は月2000~3000円ぐらいです。
http://www.lynda.com/plans?bnr=topbeamember_newsite
創業者のlyndaさんは元々ウェブのデザインやディレクションについての書籍を出版していた経緯もあり、他の動画教育サービスと比べて段違いにSEOがよくできています。
ただし初めに断っておきたいのですがこのSEOは動画教育ビジネスモデルを成立させるうえで重要な要素にはならないとも感じます。
理由はいくつかあって
・lynda.comが保有する授業数は10万近くで、そもそもその数を集めるのが凄い
・数が多いだけでなく質もかなり良いらしい
・法人経由の売上がかなりありそう
このあたりかなと。
ただしSEOは本当によくできており、会員向けのサービスにとって良い参考例になると考えています。
どっちやねんという話で恐縮なんですが1つずつ説明しましょう。
|動画配信サービスにとって大事なのは集客よりも授業量の担保
lynda.comは動画配信のビジネスを2002年から運営してることもあり、10万を超える動画を持っているのが最大の強みです。日本のサービスのインデックス数と比べると圧倒的に多いです。(ストリートアカデミーはビジネスモデルが違うので比較するのは微妙ですね)
これはインデックス数なので厳密には授業の数ではないんですが、比較の参考にはなります。
また数だけではなく質も高いようです。
90%以上の教師がlynda.comからの収益によって十分な年収を得ているようで、lynda.comが儲かることでコンテンツパブリッシャーも潤うという良い循環が生まれています。ガラケー時代におけるドコモと公式サイト運営会社との関係を思い出しますね。
しかしLyndaの協同ファウンダによると、同サイトの教育者の90%近くが、このプラットホームのための教材ビデオの製作で十分な年収を得ているそうだ。
http://jp.techcrunch.com/2012/05/18/20120517teachers-makin-moola-on-the-web/
昨今人口減によって予備校ビジネスはどこも苦境ですが、衛星放送授業が特長の東進ハイスクールのナガセは業績が絶好調です。ここはスター講師の獲得にかなりの資金を投資しているようです。まあ衛星放送がビジネスモデルなので、店舗毎に講師を採用しなければならないモデルとくらべて、スター講師一人に投資をすれば良いという前提がありますが。
lynda.comは講師に対する還元の仕組みが強みの一つになっていると思います。これは調べても出てこなかったので憶測になってしまいますがnaverまとめのように閲覧数や登録数、有料会員増の貢献度によってストックで収益が積み上がる形になってるのではないでしょうか。
|BtoBの売上が凄い
売上の100億の内訳として、この記事では大部分が法人収益であると書かれています。200万人の継続課金ユーザのうち大部分が法人経由のグループ課金になっているようです。150万人が月2000円支払う個人ユーザだと仮定すると6~7割は法人経由の売上になります。この売上はウェブマーケティングだけの成果で作るのは難しいでしょう。
The site generated approximately $100 million in revenue in 2012, and has 2 million paying subscribers, many from companies like Sony, Pixar and Disney (and presumably, with group subscriptions).
http://www.subscriptioncontent.net/after-17-years-2-million-subscribers-100m-in-revenue-lynda-com-asks-for-funding/
|そうはいってもSEOは参考になる
会員制のサービスは検索エンジン集客が弱くなる宿命を持っています。会員にならないと見れないようなコンテンツは検索エンジンに伝えることはできないので、仮にどんなに情報量があったとしても検索エンジンから見た際に情報量が少なくなってしまうためです。
検索エンジンにインデックスされたらユーザに会員登録してもらう必要がなくなってしまいますからね。
こういったサービスにとってlynda.comは参考になります。いくつかポイントを紹介しましょう。
-カテゴリ整理
大量の授業が整理されています。これによって整理されたカテゴリのキーワードの検索流入が生まれます。
-URL
URLも基本に忠実です。schooと比べるとわかると思います。
schooは大量の重複ページが生成されていますね。
http://schoo.jp/search?q=Web%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3&type=archive&offset=30
http://schoo.jp/search?q=Web%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3&type=archive&offset=29
http://schoo.jp/search?q=Web%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3&type=archive&offset=28
http://schoo.jp/search?q=Web%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3&type=archive&offset=27
http://schoo.jp/search?q=Web%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3&type=archive&offset=26
http://schoo.jp/search?q=Web%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3&type=archive&offset=25
lynda.comも生成されていますが、複数の重複コンテンツを一つのページに評価をまとめるタグを記載しているのでこういった問題は回避できます。
大量の重複コンテンツはこういった大量の情報を扱うサービスにとってはアキレス腱になります。参考になりますね。
-コーディング
lynda.comは講座の内容を文字起こしして、ソース上に展開しています。Googleは画像や動画などの非テキスト情報を正確に把握できないので、こういった施策は検索エンジンフレンドリーですね。
udemyやカーン・アカデミーなどと比較してもこういった施策を採っているのはlynda.comだけです。
pptのデータ共有できるslideshareも初期はありませんでしたが、今はテキスト内容が掲載されています。おそらくですがSEO目的でしょう。※訂正としてslideshareは初期から文字起こしの施策を行っていました。すいません。
検索エンジン対策云々以前に単純に便利なので、画像や動画など検索エンジン評価が弱いような情報を取り扱うサービスにとって参考になる施策です。
| lynda.comのまとめ
lynda.comのSEOは殊動画配信サービスの事業者にとって参考にはならないと思いますが、検索エンジン集客が難しい会員制ビジネスにとって参考になるはずです。
日本の動画教育サービスも授業の数が数万になった段階で、カテゴリを整理すると検索流入が一気に増えるでしょう。
大量の情報を整理することで、新しくコンテンツを用意しなくとも低コストに良質なトラフィックを創出できるところがSEOの最大の価値ですが、情報量がそこまで多くないサービスがlynda.comの施策を採用しても手間の割にリターンはそこまで見込めないので要注意です。
SEOはフェーズによってやらなければならないことは変わってきます。
1 独自性がある情報の量産を仕組み化する⇒ビジネスモデル構築
2 情報量を増やす⇒コンテンツ量産
3 大量の情報を分割して整理する⇒ユーザ関心が高いキーワード毎に専門ページを作る
まあ全部大事なんですが、こういったビジネスモデルはまずは1と2に全力で取り組むべきです。
それではまたこの場所でお会いしましょう!
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